とむとむダイアリー

オタクの何気ない日常エッセイ。

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部署が異動してから数週間経った頃、自分は仕事を覚えられないことに焦る一方、なぜか仕事に集中できずにいた。サポートに行った時、スタッフの質問を聞いても、その内容が右から左へと流れるのである。上司に対応を聞きに行った時も同様だ。そんな自分の様子を見る彼らの視線は冷ややかだった。

クレーム対応の時も、客の話がすぐに理解できなかったり、上手く言葉が出てこなくなり無言になってしまうこともあった。理解力・会話力が明らかに低下していたのである。

もしかしたら疲労や睡眠不足で頭が上手く回らないのかもしれない。そう思っても、残業があるから帰れず夜遅くに就寝、翌日はさらに状態が悪化している悪循環が続いた。

仕事中の束の間の安息があるとすれば昼休憩ぐらいだったが、そこでも小さな異変があった。コンビニへ行っても全然食欲が湧かないのだ。普段ならコンビニ弁当やチキンなど、色々買ってしまっていたのに、それらを見ても全然食欲が湧かないのだ。だが、ここで食べておかないと10時間以上何も食べれない。とりあえずウィダーインゼリーを流し込み、残った時間は仮眠に充てた。

さらに深刻だったのが、夜眠れなくなったことである。元々寝つきは遅いタイプだったのだが、明らかに眠れない。瞼を閉じると職場の風景が思い浮かび、眠れたと思ったら仕事の夢を見る。湯船に浸かったり、ハーブティーを飲んだり、色々な対策を試してみても効果は無く、体は眠いはずなのに意識だけはハッキリしている変な感覚だった。

ちょうどそれと同時に、会社に近づくと足が重くなったり、腹痛を感じ始めるようになった。駅から降りた時、昼休憩から戻る時、足がズンと重たくなるのである。

今まで起きたこと、感じたことのない不調。1度病院に行くべきかと思ったが、その病院に行く気力さえ湧かなかった。ある朝、自分の口からぽろっと本音が漏れた。

「会社、生きたくないな」

Part⑦へ続く…

慣れないサポート、苦痛のクレーム対応に苦しむ中、もう1つ自分を悩ませることがあった。それは、労働環境である。

異動前に聞いた話では、9時半出社、18時には業務終了。そこからクライアントとの会議があるが、遅くても19時には上がれる。また、日・祝日は休みと聞いていた。正直、その環境であれば前の部署よりいい労働環境になるはずだった。

しかし、実際の所は労働時間も18時までに上がれるのはスタッフのみで、そこから管理者達は怒涛の管理業務に追われる。

処理に誤りがないかの確認。誤りがあれば、対応内容を音声で確認。対応自体に間違いがあれば顧客へ発信。これを全スタッフ分行うのだ。この部署には30人近くのスタッフがいる。しかし管理者は数人しかいない。となると、チェック作業は時間がいくらあっても足りない。

自分は上司に依頼された音声確認。不備があれば発信という作業を任されていた。スムーズに発信対応が終わればいいのだが、繋がらないケースがほとんどで、その場合は別日へ持ち越しになる。なので、どんどん発信業務が積み重なっていく。中には繋がったはいいものの、クレームに発展し進行が止まるケースもあった。発信を早く終えたとしても、スタッフが使う資料の差し替えや補充がある。

ようやく帰れる頃には既に23時。終電ギリギリだ。急いでモノレールに乗り家に帰った頃には既に日付を跨いでおり、ご飯を速攻で食べ眠るだけ。少しでも夜更かしすれば睡眠不足確定である。

しかし、これはまだマシな方で、管理者の中にはさらに残業する者、昼休憩すら取れずぶっ続けで働き続ける者、皆ギリギリの状態で働いていたのだ。それが毎日続くのである。

そうなると、休日の大半は体を休めるため寝て過ごすことになる。日曜・祝日が固定で休みなのはありがたいが、逆に言うとそれ以外の日はフルで出勤になるので、週6出勤の週も多々あった。その貴重な1日の休みが睡眠で消えてしまうのだ。

その影響か、自分は徐々に体に不調を感じ始めた。

Part⑥へ続く…

現場サポート入りで体力とメンタルをゴリゴリに削られている自分。そんな自分のもとへ、クレーム対応の引継ぎがあった。クレームの引継ぎは異動前の時から経験があるので、きっと大丈夫だろうと思っていたが、その認識は間違いであった。

客「あんたらの商品さぁ!おかしくないですか!?こっちは何万も払ってるんですよ!!」

開始早々、客の怒号が耳をつんざいた。
この部署は電化製品を取り扱っている以上、ユーザーは高いお金を支払っていることになる。その製品ですぐに故障や動作不良が起きれば怒るのは当然の心理だ。前いた部署と比べると、客の温度感は比ではない

事前に対応の流れは確認していたので、自分はその流れに沿って謝罪と、今回の対応について案内した。結論から言うと、今回の症状は製品に原因は無く、客の使用状況・環境によるものだった。だが、やはり金額が大きい以上客も簡単に納得はしない。

「誠意を見せろ!」
「最低な会社だな!」
「バカヤロー!」
「話通じない?頭大丈夫?」

対応が長くなるにつれ徐々にお客様の言葉遣いも荒くなる。暴言を吐かれ、さらには客の家族からも文句を言われるという集中砲火である。しかし、自分から案内できることはもうない、平行線だ。

後はただ客が電話を切るか、諦めてもらうか、嵐が過ぎるのをひたすらに待つのである。結果、1時間後にようやく客は諦め電話を切った。

客の困ったことを解決できず、ただ暴言を吐かれるだけ。予想以上の暴言、長時間座りっぱなしで頭がぼーっとする。
単に自分の前いた部署がぬるま湯だったのだ。きっと皆自分以上の暴言を客から受けている。その客を捌いていくのがコールセンターのあるべき姿なのかもしれない、そう思ってしまう。

一方、自分のクレーム対応は部署内では上手い方に入るらしい。それ以降、自分はクレーム対応をよく任されることになった。

中には、某論破王のような話し方をする人もおり、3時間以上対応するケースもあった。今までは全然苦ではなかった電話対応が、初めて苦痛に感じるようになった。

Part⑤へ続く……



上司「今日から現場サポートお願いね」

自分「え…今日からですか?」

上司「分からなかったら聞きに来て」

新しい部署に異動した後、受信を開始してからわずか2日で現場のサポート入りを命じられた。
業務がスタートし、電話が入ってくる。現場が活気を帯びるとともに、自分の中の不安は大きくなっていった。どうか難しい質問が来ませんように、と祈っていた矢先、早速出番がやってきた。

と、ここで現場サポートの流れについて紹介しようと思う。現場のサポートというのは、対応中のスタッフがヘルプ札を挙げた時にそのスタッフの質問や後処理のサポート、はたまたお客様が上席対応を希望された時に電話を変わることもある。

なので、現場サポートをするには商品に関する知識や対応の流れを十分に把握していないといけない。異動前の部署でサポートに入った経験はあるが、それは十分に経験と年数を積んでからだった。異動したばかりの自分は製品に関する知識も少なければ顧客対応の経験も乏しい。そんな自分がサポートに入った結果は散々だった。

スタッフの質問には答えられず、上司に聞きに行き、その回答をスタッフに伝えるという伝言ゲームだ。これがすぐに上司に聞きに行ける環境であればいいのだが、上司も他のスタッフのサポートで忙しい。その合間を縫って質問をしに行くのだ。必然的にスタッフも顧客も待たせてしまい、客を怒らせてスタッフに負担をかけてしまう悪循環が生まれてしまう。

途中からは「あなたじゃ分からないと思うから、別の人呼んできて」と言われることも多々あった。初日なので仕方ないとは言え、この言葉が中々に堪えた反面、早く仕事を覚えようという着火剤にもなった。

しかしながら、この部署の忙しさはとてつもなかった。鳴り続ける電話、3分に1度は上がるHELP札、一息つく暇もない。物覚えの悪い自分は、仕事を早く覚えるために質問をメモし自分なりのQ&Aを作っていたのだが、それを作る時間すらない。なので、覚えようとしても別の質問が飛んでくるので覚えられず、知識が中々定着しない悪循環も生まれていた。

そんな中、自分はあるスタッフのクレーム対応を引き継ぐことになった。現場サポートは苦手だが、顧客対応なら今までの経験が活かせるはずだ。しかし、電話を代わった直後、自分の考えが甘かったと思い知ることになる。

Part④へ続く……


健康診断を終えた自分は、病院を出て自販機の前に立っていた。ボタンを押すと、ガコンという音と共に缶コーラが出てきた。ロング缶のコーラは途中で飽きてしまうので、最近は250?300?mlのコーラをよく買っている。

半日飲食に制限がかかっていたので、コーラの甘味が普段よりも強く感じる。たった半日でこれなのだ、出所後の囚人がコーラを飲んだ日には血糖値が爆上がりしてぶっ倒れるかもしれない。

コーラを飲み終え一息つくと、自分はある事に頭を悩ませていた。

そう、昼飯である。

健康診断前日、自分は仕事が長引いたせいで昼から何も食べていなかった。つまり、めちゃくちゃ空腹状態なのである。

お決まりのラーメン、最近食べていないマック、最速で食べることのできる牛丼。いや、血を抜かれたのだ。新しい血をつくるために、焼肉もアリだろう。

そんな他愛もないことで頭を悩ませながら歩いていると、ふと近くにあるくら寿司が目に入った。

そうだ、寿司にしよう。

自動ドアを潜ると、魚屋特有の香りを感じる。お昼時なので混んでいると思いきや、平日ということもありすぐに席に着くことができた。

回転寿司のチェーン店は色々とあるが、個人的にはやはり「回る寿司が置いている」寿司屋が好きだったりする。

コロナ禍や数年前の悪質なイタズラ事件により、回る寿司は置かず注文した寿司のみ届けるという方針の店もあるが、やはり回る寿司があるとテンションが上がるのだ。

話は変わるが、寿司には食べる順番があるらしい。最初は淡白な魚をその次に濃い味のものを食べるとより美味しく感じるらしい。

だが、今の自分は超絶空腹状態である。そんなお行儀のいい食べ方なんぞできるわけがない。自分は欲望のままに好物のサーモンやらハラミやら炙りサーモンやら、サーモン祭りを開催していた。

1つ口に運ぶと、サーモンの脂と旨味が口の中で溶け合い、多幸感に包まれる。というか、普段の倍美味しく感じる。健康診断後に食べる飯が1番美味しいのではないだろうか?

家族や友人と来れば、眉を顰められそうなサーモン祭り。自分は1人しかいないことをいいことに、その後もサーモンを喰らい続けた。


サーモン祭りをひとしきり楽しんだ後、自分は苦しいお腹をさすりながら店を後にした。昨年もだが、健康診断後は反動でドカ食いしてしまうので危険だと思う。これがまだ半日だからよかったものの、2~3日、1週間断食した後だとさらに反動が来るかもしれない。

しかし、逆にそれだけの空腹状態で食べるご飯はどれだけ美味しいのだろうかと興味が湧いてしまう自分もいるのだった。

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