このシリーズを始めから読む→「オタクがパチンコに行ったお話 Part①」

前回の話を読む→「オタクがパチンコに行ったお話 Part④」  


ギャンブルっていうのは質が悪いもので、1度勝ちを味わってしまうと「もっと…!もっと!」と欲とお金を張ってしまう。

初の勝利を噛みしめながら缶コーヒーを啜っていると、自分の中の悪魔が囁いてきた。

「2万円もあるんだからもう少し打てるんじゃないか…?4パチで勝ったら今の倍の額だって夢じゃないぜ…?」

必死に悪魔の囁きを振り払う。それはダメだ、このように欲を出した戦い方は絶対に良くない結果を生む。これ以上この場所にいるのは危険だ…一刻も早くこの場を去らなくては…

気づいたら、自分は再びパチンコ台の前に座っていた。いつの間にここに座っていたのだろう、これがポルナレフ状態なのだろうか。

さらに、いつの間にか台に1万円吸わせている。まだこの時点であれば引き返せるのだが、自分は「玉貸」のボタンを押していた。4パチ1万円勝負である。

初のパチンコでは3000円だったが、今回は1万円もある。これだけあればそこそこな勝負は出来るだろう。気合を入れてハンドルを回すと、すぐにリーチが来た。ハズレはしたものの、運の流れは確実に自分に向いている。

ワンチャン勝てるんじゃないかと淡い期待を抱きつつ回し続けていたが、徐々にヒキが悪くなり、リーチすら起きなくなった。

慣れもあるのか、演出が弱いと退屈なもので、自分は台を見ずTwitterを巡回しながら作業的に打っていた。玉が切れ、再び「玉貸」のボタンを押すと「40(4000円)」と電光文字が浮かんでいた。そう、この数分で6000円も消滅してしまったのだ。

1円パチンコで勘違いしてしまったが、これは4円パチンコ。1000円が消えるのなんて3分もかからない。

「ここまで来たら最後まで打ち切るか…」

そう思った直後、自分自身の思考に恐怖した。普段の自分なら4000円をこんな使い方しない。たぶん、勝ちを知る前だったらすぐに撤退していただろう。だが、1度勝ってしまったせいで、金銭感覚が一瞬で狂ってしまったのだ。

「まだだ…まだ終わらんよ…」

と心の中で呟くものの、その後は熱い展開どころかヘソに玉が入る回数も減り、結果は大惨敗だった。このまま座っていたら残り1万すらツッコミかねない。自分は早足でパチンコ店を退店した。

幸い、残り1万円は使わずに済んだが

投資:5千円
回収:2万円(1万5千円)
追加投資:1万円
最終結果:5千円勝ち


という、微妙な結果となってしまった。確実に、欲を張らなければ気持ちよく凱旋を飾ることが出来た。

あの時引き返していれば…と胸をかきむしりたくなるような悔しさ、背中が焼かれるような後悔が湧いてくる。自分はこの1日でギャンブルの天国と地獄の両方を味わったのだ。正直、初日で負けた時とは比べ物にならないぐらい悔しい。

最終的に回転寿司には行ったものの、後悔からあまり味を感じなかった。


こうして、ついに自分のパチンコデビュー戦は幕を閉じた。大当たりを引いたからもう行くことはないだろう…

嘘である!!!

この男、あれから既に2回パチンコに行っており、2回とも普通に負けている。つまり、勝った額はすべて消滅してしまったのだ。

たった数度の経験で脳を破壊するギャンブル、なんとも恐ろしいものである…皆もパチンコ行く時は気をつけて…