Part②はコチラ→「ナビに従ってドライブしたら山の中に置き去りにされた話②」

「目的地へ到着しました。お疲れさまでした」

突然のナビの音声に自分と友人は驚いた。どうやら自分達は目的地へ到着したようだ。だが、そこはサンエーではなく森のど真ん中だ。

自分は手持ちのスマホで現在地を確認しようとすると、スマホの電波が今までにないぐらい悪くなっていた。さらに、Spotifyで流していた音楽も電波が悪いのか音声が途切れ途切れだ。

流石にここまで来ると不気味さもピークになる。
自分と友人は「ヤバイヤバイ!」と言いながら、そのまま車を走らせた。Uターンしようにも車1台しか走るスペースが無いので、まっすぐ道なりに進むしかなかったのだ。

道なりに進んでいると、道の起伏が激しくなり何度も坂を登ったり下りたりを繰り返していた。その途中で、自分達はある看板を見かけた。

「名護岳 登山道」

森の中を走っていると思っていたが、自分達はいつの間にか名護岳に迷い込んでいたようだ。
だが、今までどこにいるのか分からなくなっていた自分達にとって、現在地が分かるのはとてつもない安心感があった。それに、登山道なら走り続けていればいつか出られるはずだ。

道中、珍しい湧水を見つけたりしながら進んでいると、ついに大通りへ出られる道を発見した。ナビを初めて1時間弱、ついに自分達はこの山の中から脱出できたのである。

「出れたぁ~~~~~!」
とお互い安堵しながら、落ち着くために車を道の脇に停める。脱出したはいいものの、この道がどこに続くか分からない。スマホを見ると、山の中から出れたからか電波が回復していた。

とりあえず知っている道に出るため、友人は再度先ほどと同じサンエーをナビで設定した。

すると、ナビの案内ルートは後ろを指していた。それは、先ほどの山へ戻る道だった。

自分達はナビを無視して、急いで大通りへ道を走らせた。