とむとむダイアリー

オタクの何気ない日常エッセイ。

2024年09月

口に関するアンケートってなに?

口に関するアンケート
背筋
ポプラ社
2024-09-04



今回は『近畿地方のある場所について』の作者・背筋氏による3作目の作品『口に関するアンケート』について紹介させていただきます!

本作のタイトルを見た時の自分の感想がまさに本記事の1文です。ただ、その意味不明なタイトルが逆に興味をそそる。しかも、本作はあの背筋氏の作品。ホラー小説好きとしては読まずにはいられないッッ!

そう思って本作を読み始めたのも束の間、突然始まる大学生グループの1人語り。頭の中「???」の状態で読み進めて行くと、どうやらグループで肝試しに行って、その時の恐怖体験を1人ずつ語っていくのが大まかなあらすじ。この語り部によって新事実が出てきたり、語る内容に差異があったりするのは、芥川龍之介氏の『藪の中』感を彷彿とさせる。

どちらかと言えばミステリー寄りな印象ですが、ちゃんとホラー要素もあるので楽しむことができました。

「肝心の口に関するアンケートは!?」と思った方、是非ネタバレ厳禁で読むことをオススメします。是非自分と同じ恐怖と衝撃を味わってくださいませ。

では、本記事を最後までお読みいただきありがとうございました。

健康診断を終えた自分は、病院を出て自販機の前に立っていた。ボタンを押すと、ガコンという音と共に缶コーラが出てきた。ロング缶のコーラは途中で飽きてしまうので、最近は250?300?mlのコーラをよく買っている。

半日飲食に制限がかかっていたので、コーラの甘味が普段よりも強く感じる。たった半日でこれなのだ、出所後の囚人がコーラを飲んだ日には血糖値が爆上がりしてぶっ倒れるかもしれない。

コーラを飲み終え一息つくと、自分はある事に頭を悩ませていた。

そう、昼飯である。

健康診断前日、自分は仕事が長引いたせいで昼から何も食べていなかった。つまり、めちゃくちゃ空腹状態なのである。

お決まりのラーメン、最近食べていないマック、最速で食べることのできる牛丼。いや、血を抜かれたのだ。新しい血をつくるために、焼肉もアリだろう。

そんな他愛もないことで頭を悩ませながら歩いていると、ふと近くにあるくら寿司が目に入った。

そうだ、寿司にしよう。

自動ドアを潜ると、魚屋特有の香りを感じる。お昼時なので混んでいると思いきや、平日ということもありすぐに席に着くことができた。

回転寿司のチェーン店は色々とあるが、個人的にはやはり「回る寿司が置いている」寿司屋が好きだったりする。

コロナ禍や数年前の悪質なイタズラ事件により、回る寿司は置かず注文した寿司のみ届けるという方針の店もあるが、やはり回る寿司があるとテンションが上がるのだ。

話は変わるが、寿司には食べる順番があるらしい。最初は淡白な魚をその次に濃い味のものを食べるとより美味しく感じるらしい。

だが、今の自分は超絶空腹状態である。そんなお行儀のいい食べ方なんぞできるわけがない。自分は欲望のままに好物のサーモンやらハラミやら炙りサーモンやら、サーモン祭りを開催していた。

1つ口に運ぶと、サーモンの脂と旨味が口の中で溶け合い、多幸感に包まれる。というか、普段の倍美味しく感じる。健康診断後に食べる飯が1番美味しいのではないだろうか?

家族や友人と来れば、眉を顰められそうなサーモン祭り。自分は1人しかいないことをいいことに、その後もサーモンを喰らい続けた。


サーモン祭りをひとしきり楽しんだ後、自分は苦しいお腹をさすりながら店を後にした。昨年もだが、健康診断後は反動でドカ食いしてしまうので危険だと思う。これがまだ半日だからよかったものの、2~3日、1週間断食した後だとさらに反動が来るかもしれない。

しかし、逆にそれだけの空腹状態で食べるご飯はどれだけ美味しいのだろうかと興味が湧いてしまう自分もいるのだった。

日曜・祝日の休日、それは一般的な社会人の休日だろう。
自分は今まで平日休み、日曜・祝日は月に1度休みがあるかないか程度だった、のだが、部署移動に伴い日曜・祝日が固定で休みになった。

日曜が休みになることで社会人・学生の友人達と今までよりも予定が合わせやすくなったので、最初はだいぶ快適になると思っていた。

ところがどっこい、意外にもこの日曜休みがやりづらい(贅沢)
まず、そもそも休みの人が多いからどこに行っても混んでいる。映画館、カラオケ、道路、どこに行っても混んでいる。

店も大抵休日料金になってしまうので割高だ。最近だと、友人とちょっと高めの中華料理屋に行ったのだが、目的のランチパックは平日限定で、最低でも3000円からのコース料理のみというアクシデントに遭った。

え?ランチ3000円は高い?自分達には高いんです!!

結局、その日は1000円の単品料理を3品頼み、割り勘することで事なきを得た。けど、めちゃくちゃ美味しかったので次はコース料理もチャレンジしてみたい。

さらに、日・祝休みだとその影響で他の月~土までフルでシフトを入れられる。なので、病院や役所に行きづらい。
そして、月~土まで6勤、日で1休、そこからまた6勤と「3勤1休」ならぬ「6勤1休」になることもしばしばだ。まぁ日・祝日で2連休になる週もあるのでギリ耐えられるのだが。

これで定時で上がれるならいいが、ほぼ毎日23時近くまで残業だからちょっと、いや正直だいぶキツイ。

とは言ったものの、やはり友人や家族との予定は合わせやすいので、そこは日・祝休みのメリットだろう。だが、逆に言えば自分としてのメリットはそれぐらいかもしれない。

フラッと出かけて、人が少ない中落ち着いて過ごせる。そんな今までの平日休みこそが、自分の理想の休日なのかもしれない。

ダーツ、それは円形の的に手投げの矢を当て得点を競うゲームである。

最近はダーツを置いているバーや娯楽施設に置いている場所も多く、1度ぐらいはやってみたことがある人もいるのではないだろうか。

かく言う自分は、友人に誘われたことがきっかけで最近ダーツにハマり始めた。
何が楽しいかって、矢を的に当てるだけというシンプルながら、奥が深いゲーム性だ。

正直、始める前はとりあえず真ん中(ブル)に当てればいいと思っていたのだが、当たる場所によって点数が決まるのだ。


300px-Dartboard.svg[1]
300px-Dartboard.svg[1]

このように、当たる場所によって点数が決まっている。なので、とりあえず的にさえ命中すれば点数は入るのだ。

正直、自分は投げるのが苦手で、子供の頃にキャッチボールをすると暴投、転がってきたサッカーボールをサッカー少年たちに投げると明後日の方向に投げてしまいかえて手間をかけてしまうほどのノーコンである。

ダーツ初日も的に当てるまで少し時間がかかった。だが、徐々に的に当てる感覚を掴み、それに伴ってまぐれだがブルに当たる回数も増えてきた。

このブルに当たった時が1番気持ちがいい。
トン、と的に刺さった音、綺麗に真ん中に刺さった矢、台の効果音、全部が気持ちいい。気持ちよさのあまり脳がブルっと震えてしまう。

ちなみに、1度ブルを決めると黒閃を決めた虎杖のようなゾーン状態に入ることがある。先ほどまで全然入らなかったブルが、めちゃくちゃ当たるようになるのだ。3回中2回連続でブルに入った時なんか、脳汁でビシャビシャになってしまう。

とは言っても、上手い人達は狙ってブルに当てられるし、3回投げてすべてブルに入ることもある。彼らは一体どれだけの鍛錬を積んできたのだろうか。

ダーツで行うゲームは点数を0まで減らしていく「01」や純粋に得点を重ねていく「カウントアップ」がある。「クリケット」に関しては正直難しいのであまりやったことがない。

個人的に好きなのが数を減らしていく「01」だったりする。
このゲームの難しいポイントは数をきっちり0にしないと上がれないことだ。たとえば、残り10点で20点をとってしまうとやり直しになるのだ。

なので序盤に点数差をつけられても、最後の最後で追いつかれたり、逆転されることもある。まぁ自分は狙った場所にピンポイントで当てられないので上がれないことの方が多いのだが…

最近では快活クラブなどにもダーツを設置している所があるので、気になった方は1度遊んでみてほしい。

仕事を終えPC画面左下のWindowsマークをクリックする。
電源ボタンにカーソルを合わせると、シャットダウンや再起動の項目が並んでいる。

シャットダウンしたいのは自分の方だよ、と心の中で悪態をつきつつ、PCの電源を落とした。

伸びをしながら立ち上がり、ふと周りを見渡すと、センター内には自分以外に誰もいないことに気づいた。

誰もいないセンター。午前中の慌ただしさや喧騒が嘘のように静まっており、空気清浄機のごうごうという稼働音だけが響き渡っていた。

普通なら「こんな時間まで残業かよ」って思いたくなるが、センターに1人だけ残っているのは不思議と高揚感を覚える。

朝1番に教室に着いた時、皆が帰った後に忘れ物を取りに行った時のような、あのような感覚だ。

「疲れたー!」

思わず大きな独り言が出て自分でも驚いてしまったが、この時間なら聞いている人は誰もいない。その後も帰りの準備をしながら自分は独り愚痴大会を開いていた。


帰り支度を終え、退勤を押す。残業は長いが、その分ちゃんと残業代が出るだけマシだろう。

今まで23時を過ぎても電気が点いているビルを見ては「大変だな〜」と思っていたが、まさか自分が同じ立場になるとは思ってもなかった。

時計を見ると、時刻は23時を過ぎていた。今からモノレールで帰るとなると、最短でも帰りは日付を跨いでいる。帰ったとしてもご飯を食べて寝る時間しか残されていない。

少しでも早く帰ろう、とセンター出口のカードリーダーにICカードをかざす。その時、ピピピとエラー音が鳴った。

この会社の入退室のシステムは厄介で、1度引っかかるとどこも出入りできなくなる。

まぁ"誰か"いれば一緒に出ることができるので問題ないのだが。

誰か?

そうだった。今このセンターには自分以外誰もいない。ということは、自力でここから出ることは不可能だ。

幸い、このビルには常駐の警備員がいる。その人に知らせることが出来ればなんとかなるかもしれない。警備室は別の階だが、スマホで調べれば連絡先ぐらい出てくるでろう。

ところがどっこい、ビルの名前を検索しても、ビル自体の電話番号や警備会社の電話番号は分からなかった。この時点で終電まで残り20分だ。

これ、詰みなのでは?

嫌な考えが頭を過ぎる。
救護室のベッドで眠り朝まで過ごし、そのまま出勤するという最悪なシナリオが思い浮かんでしまった。

なんとか帰れる方法はないか、とセンター内を歩き回るも、やはりどこからも出られそうにない。次でダメなら諦めることを決意し、自分は最後の手段に出た。


「すいませーん!」

最後の手段、それはシステム室であった。
以前、システムの人は夜も常駐しているという話を聞いたことがあったので、もし滞在していれば彼に頼んで出られるかもしれない。

同じフロア内にシステム室があったのは不幸中の幸いだろう。

諦め半分だったその時、扉の向こうから足音が聞こえた。扉が開くと、システム担当者が不思議な顔をして自分を見ている。

それはそうだ。システムの人を呼ぶのは何か不具合が起きた時だし、こんな深夜に呼べば「こんな夜更けに不具合かよ!」と思うのも当然だ。

事情を説明すると、彼は快く協力をしてくれて、自分はなんとかビルから脱出し終電に間に合わせることが出来た。

正直、なぜエラーが起きたのか分からない。だが、もしシステムの人が不在だったら確実に詰んでいただろう。

これからは残業があっても人がいる内に帰ろう、そう決意するのだった。

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