とむとむダイアリー

オタクの何気ない日常エッセイ。

2024年05月

飲みからの帰り道、自分は酔いでふらつく足取りの中、ファミリーマートへ向かっていた。

入店する時には真っ暗だった空が、今では嫌になるほど明るい。眠気と酔いはピークを迎えていて、もはや路上ですら眠れそうだった。

しかし、〆のアレを食べなくては。 

緑と白の看板が視界に入る。コンビニはいつ入っても同じ雰囲気、同じ光景でなぜか妙な安心感を覚える。

自分はレジ近くの棚から、あるものを手にとった。 そう、これこそが狙いのファミマの朝すばである。

この朝すば、150円という低価格なのに、しっかりと美味しい。さらに、カップ麺にありがちな乾麺ではなく生麺なのも個人的には嬉しかったりする。

お酒を飲んだ後の「ガッツリは食べれないけど、ちょっと小腹が空いた」時にこの朝すばはピッタリなのである。

レジ隣の給湯器でお湯を注ぎ、朝早くからやっているフードコートへ腰を下ろす。
カップ麺のように待ち時間がないので、お湯を注いだ瞬間すぐに食べられるのだ(嬉しい)

最初の1口目をすする、ほとんど味がしない。おそらく、まだ出汁がお湯に溶け切っていないのだろう。

だが、この無味加減がイイ。この優しい温かさがアルコール漬けになった身体に染み渡る。 このままだとただの白湯そばになってしまうが、2口目、3口目と食べていく頃には徐々に味が濃くなっていく。

そして、最後に飲む出汁が1番美味しいのだ。

朝すばを食べ終えた頃には、少し酔いもさめてきていた。

喫煙所で食後の一服をし、モノレール駅へと向かう。ホームには、朝早く出社するであろうサラリーマンや学生がポツポツと立っていた。

皆が会社や学校へ向かう中、1人だけふわふわな状態で帰路につく。 そんな小さな優越感を感じながら、電車に揺られ目を閉じていた。

自分でこういうのもアレだが、どうやら自分は優しく見えるらしい。初対面の人にも「なんか優しそうなオーラが漂ってる」と言われたことがある。

そのせいなのか分からないが、道を聞かれることや、キャッチや勧誘にあう機会も多い。

キャッチや勧誘に関しては「興味ないんで」とスパッと断れれば楽なのだが、それでは相手が可哀想なので、とりあえず話を聞いて、その後断るという互いに不毛な時間を過ごしてしまうことがしょっちゅうだ。

キャッチぐらいならまだ可愛いものだが、見知らぬオッサンに金をたかられることも多々ある。

流石に断るが、怒ったオッサンが逆上して襲ってこないか心配でビクビクしながら足早にその場を去っている。

1週間前も、見知らぬオッサンに金をたかられた。
その日はパチンコで大勝ちし気分良く帰っていると、突然声を掛けられた。

「兄ちゃん、家帰りたいんだけど交通費が無くてよぉ〜貸してくれない?」

彼らの常套句だ。何故か分からないが、こういう人達は決まって「帰る交通費が無い」と言ってくる。

金額を聞いてみると3000円と言ってきた。
「そんな高いのにどうしてここに来たねん!」とツッコむ気持ちを抑え、いつも通り穏便に断ろうとした。

「あぁ〜それは大変ですね…気持ちは山々なんですけど、あっちで今日負けて来たんですよ」

自分は今出てきたパチ屋を指さし、申し訳なさそうに断った。

これで諦めるだろ、と思いきやオッサンは予想外の反応を見せてきた。

「はは、兄ちゃんもか〜!いくら負けたの?」

「1万負けちゃいました、はは…」

互いに笑い合った後、オッサンは金額を下げ交渉に挑んできた。

「2000円ならどう?」

「2000円ですか〜?う〜ん」

腕を組みさも悩んでる素振りを見せると、彼は2000円から1000円まで金額を下げてきた。

こちらが譲歩することで相手に要求を通しやすくする「ドア・イン・ザ・フェイス」という心理テクニックがある。
きっと彼はそれを狙っているのだろう。

当初3000円だったのが1000円に下がったのだ。
自分は彼の策にまんまと引っかかり、1000円を手渡した。

オッサンと別れた後、後ろを振り返ると彼はパチ屋の中へ消えていった。

ファミマのアイスコーヒーを飲んだことがあるだろうか。

ファミマはローソンと違い、客がコーヒーマシンでコーヒーを淹れ、レジに持っていくシステムだ。

フレーバー付シロップが置いてあるから、個人的にけっこうファミマのアイスコーヒーがお気に入りだったりする。

だがこのアイスコーヒー、1つだけネックな所がある。

それは、"カップに入ってる氷がめちゃくちゃ固い"ことだ。

普通のアイスコーヒーの氷を想像してみてほしい。大抵のものは小〜中サイズの四角い氷がたっぷりカップに入っているものだと思う。
実際ローソンはそのタイプのアイスコーヒーだ。

ところがどっこい、ファミマのコーヒーは大きい氷の塊がカップに入っている。おかげでキンキンなコーヒーが飲める訳だが、この氷の塊が引っかかりストローが刺せない時が多々ある。


なんとかいい方法がないものか…
と考えていると、カップに「淹れる前にカップを揉んでください」といった旨が記載されていた。

なるほど、予めカップを揉み氷をバラバラにするのか。

そう思い早速実践してみた。
軽く揉んでみたが、一向に氷が細かくなる気配がない。

力が足りないのか?
そう思い、少し力を強めてカップを揉んだその時。

ポン!という音を立て氷がカップを飛び出した。
カップ内で押し上げられた氷が、フタを突き破ったのだ。 
その真っ直ぐ上に飛ぶ様は黒ひげ危機一髪のようだ。

正直、終わったと思った。
普段から鈍臭いタイプだが、ここまでだとは。

後で店員に謝って、お金を払おう。
そう覚悟したが、自分の覚悟とは裏腹に氷はなんとカップに舞い戻ってきた。九死に一生とはこのことである。

運良く自分は店内で氷をぶちまけるという奇行を犯さずに済んだ。

もう氷を揉むのはこおりごおりだ。

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