仕事に向かっている道中、一軒の家が取り壊されていることに気づいた。
家って建てるのは時間がかかるが、壊される時は一瞬だと思う。建てる時と壊す時の労力が釣り合っていないのではないだろうか?

自分は歩きながら、その家がどんな感じの家だったか思い出そうとした。
この道は仕事で何度も通っていた道だ。注意して見ていた訳では無いが、今まで何度も無意識の内に視界に入ったのでたぶん覚えているだろう。

と思っていたのだが、一向に思い出せない。脳内で何度も仕事に向かう道を思い出してみたが、他の家は再現されるのに、その家だけまるで最初から何もなかったように再現されないのだ。

自分は帰りにもう1度同じ場所に寄ってみた。何かヒント的なものはないかと見回してみたが、あるのは散らばった瓦礫とおそらく柱であっただろう残骸のみだ。

おそらく今ここで当時の写真を見せたら「あ~!こんな感じだった!」と思い出せるはずと思う。
そこに”あった”時には認識で来ていたのに、無くなった瞬間に記憶からも消えてしまうのは不思議な話だ。

そういえば、入れ替わりの激しいテナントの飲食店も、前がなんの店だったか思い出せない時がある。

これは単に自分の記憶力が悪いだけなのだろうか。