皆さんこんばんわ!とむとむでござる~!
冬に食べるアイスが美味しいように、冬に読むホラー小説もまた面白いもの。というわけで、今回は小池真理子著『墓地を見おろす家』の感想をお話ししたいと思います!

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墓地を見おろす家 (角川ホラー文庫)
小池 真理子
KADOKAWA
2013-07-17



本の紹介

新築・格安、都心に位置するという抜群の条件の瀟洒(しょうしゃ)なマンションに移り住んだ哲平一家。問題は何一つないはずだった。ただ一つ、そこが広大な墓地に囲まれていたことを除けば…
やがて、次々と不吉な出来事に襲われ始めた一家がついにむかえた、最悪の事態とは…!?
                           『墓地を見おろす家』より

あらすじ

新築、格安、都心に位置する綺麗なマンションに移り澄んだ哲平一家。抜群な条件のマンションだったが、そのマンションは墓地、寺、火葬場に取り囲まれていた。哲平一家は、墓地を気にせず生活しようとしていたが、引っ越した矢先、ペットの文鳥が変死する。

さらに、妻の美紗緒がテレビを見ていると、テレビの隅に蠢く黒い影が現れたり、娘の玉緒が死んだはずの文鳥が夜に現れると話したり、不思議な出来事が相次ぐのだった。

また、ある日には玉緒が地下室で大怪我をしたり、エレベーターが動かずに地下室に閉じ込められるなど、徐々に不可解な出来事はエスカレートしていき、哲平一家のみならず、他の住人にも牙をむき始める。相次ぐ怪奇現象に耐えられなくなった住人達は、次々とマンションを去っていくことになるが…

モダンホラー

当作はホラーの中でも「モダンホラー」に分類されるんですが、モダン(近代・現代社会)を意味するように、マンションが舞台の作品。ただ、発行されたのが30年前なので、自分達的には少し前世代の雰囲気を感じました。

めちゃくちゃ綺麗なマンションだけど、近くに墓地や霊園があるというのは、わりとよく聞く話ですし、自分も実際に道を歩いていると見かけたりするのでリアリティのある設定なんですよね。

ホラーの描かれ方も、血が飛び散ったり、惨たらしく人が死ぬようなスプラッター描写は無く、ジリジリと近寄ってくる恐怖が当作の特徴です!

逃げられない恐怖

当作に登場するマンションには、物置として使われている地下室があるんですが、行き来の方法がエレベーターしかなく、ある時、エレベーターが停止して不気味な地下室に閉じ込められる。というシーンが想像するだけでゾッとしました。閉所恐怖症とか、閉じ込められるのが苦手な人にはキツイやつです。

さらに、相次ぐ怪奇現象に耐え兼ね、別の家に引っ越し、マンションを脱出しようとする住人達。けど、その脱出を阻むかのように、引っ越し先が火事で燃えたり、家を出る時に扉が開かなかったり、まるでマンションが生き物として、中にいる住人を逃がさないようなシーンがあるんですが、”逃げられない”という恐怖感と絶望感がヤバイ…!(語彙力)

自分の恐怖体験

この作品を読んで思い出したんですが、自分も以前に自宅近辺で一度だけ心霊体験を経験したことがあるんですよね。 小学生から中学生にかけ、数メートル先に墓地があるような家に住んでいて、当時は怖いな~と思いながら過ごしていたけど、数年も住んでいると慣れるもの。

けど、ある日の夜、坂の上にある墓地を見上げると、髪の長い女性が立っていたんですよね…!
特にその後は怪奇現象が起きたり、体調を崩すことはなかったけど、めちゃくちゃ怖かったのを覚えています。

やっぱり墓地の近くにある家って怖いことが起きやすいのかもしれないですね…!とは言っても、沖縄は元々墓地が多いので、どこに住んでも近くに墓があったりしますが…

まとめ

何もしていない家族が、”そこに住んだ”というだけで怪奇に襲われる理不尽な恐怖を描いた当作。徐々に怪奇現象がエスカレートしていき、ジリジリと近づいてくる描写は本当に怖い。特に地下室関連の描写が終始不気味な雰囲気を持っています。

また、作者の描き方も、大袈裟に恐怖を煽るようなものではなく、淡々と描いているような所がさらに恐怖感を増幅させているような気がします。

何より、自分達の安全地帯である”家”にまつわるストーリーなので、自分は読んだ後にちょっとした物音にも敏感になったり、久しぶりに夜中にトイレ行くのが怖くなりました。家に1人の時に読むのはやめておいた方がいいかもしれません…

けど、スプラッター描写のあるホラーではないので「グロは苦手。」という方でも読みやすいと思います!ホラー好きな方にはオススメの作品です~!ここまで読んで下さり、ありがとうございました!


墓地を見おろす家 (角川ホラー文庫) [ 小池 真理子 ]
墓地を見おろす家 (角川ホラー文庫) [ 小池 真理子 ]